アトピー性皮膚炎

遺伝的な素因のある人に、種々の環境因子が関与して起こる皮膚疾患です。

 原因は不明な点が多いのですが、アトピー素因のある人に、種々の環境因子が関与し、その結果、痒みが増強され、さらに掻破されるために症状が悪化すると考えられています。
環境因子や悪化因子としては、食品、ダニ、汗、衣類、精神的ストレス、乾燥、細菌、真菌、ウイルス、石鹸・洗剤、日光、過労・感冒、接触刺激、化学物質、掻破、飲酒など多くのものが考えられます。

 とくに食事抗原として、乳幼児では卵白、牛乳、大豆のRAST抗体が高く、成人ではダニ、米、小麦などの抗体が高くなっていることがあります。しかし、RAST検査で高い抗体が出来ているといっても、アトピー性皮膚炎の原因とは断定できません。なぜならば、ただ単に抗体のあることを証明しているだけであって、原因とは必ずしも結びつきません。原因であることを証明するには、抗原の除去試験と、負荷試験の両方が必要となります。日常生活で特定の食品を食べたときに明らかに皮疹の増悪がみられれば、皮内反応、RAST検査、食物誘発検査、食物除去試験など十分に検査を行い、食品との因果関係を証明する。食事抗原が証明されたときには食品除去療法の適応となりますが、実際にはとても少ない頻度です。

 成人では家塵ダニに対する抗体を持っていることが多く、ダニに対する対策をすることにより症状はかなり良くなります。家塵ダニには数種類のものがありますが、80%はチリダニ科のヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニです。山にいるマダニと異なり、これらのダニは0.3〜0.4mmと小さいので顕微鏡で見ないと見ることが出来ません。このダニはアカ、フケ、カビが大好きです。これらのダニの死骸や糞便に含まれる酵素が強力な抗原となりますが、これが家の中のホコリに多量に存在します。

ダニが繁殖する条件とその対策について簡単に述べます。カッコ内がその対策です。1.気温20℃前後 (50℃ですぐに死ぬ。電気カーペットでダニ退治スイッチは有効です) 2.湿度50%以上 (40%以下で死ぬ) 3.人が住んでいること (フケや餌をなくす) 4.空気が動かないこと (通風を良くする) 5.隠れたり産卵できる線維のひだのあること (畳、カーペット、毛足の長いソファ、ぬいぐるみ、クッションなどはおかない。布団、枕は防ダニのものにする)

治療

 アトピー性皮膚炎の診断が確定したら、治療をすることになります。遺伝的素因はどうすることもできないので、環境因子の改善(原因・悪化因子の検索と対策)、薬物治療、寛解時のスキンケアを行います。

治療の目標は @日常生活に支障の無い程度に良くして、その状態を維持する、 A周囲の人からアトピー性皮膚炎であることがわからない程度に良くする、 B病院にいるときと薬を塗っているとき以外はアトピー性皮膚炎を忘れられる程度に良くする、 ということになります。